ドイツ南東部バイエルン州に位置し、有名なロマンティック街道最大の都市。ミュンヘン、ニュルンベルクに次ぐバイエルン州第3の都市でもある。
中世の雰囲気こそ他の数々の都市に比べて劣るところはあるが、ルネサンス様式の美しい市庁舎は殊に際立つもので、ドイツでも大変美しい建造物の1つとされている。そして、この町の最大の魅力は、1498年から「レープクーヘン市」として始まった古い歴史のあるロマンチックな…クリスマスマーケット。
紀元前15年にローマ皇帝アウグストゥスによって築かれた「アウグスタ・ヴィンデリコールム」という町が起源。そして、商業都市として栄え始めたのが11世紀初め頃で、1276年には帝国自由都市となる。
15世紀から16世紀にかけては、莫大な富を抱えたフッガー家が台頭し、『黄金のアウクスブルク』と呼ばれるまでの大いなる繁栄を遂げる。しかし、近代になって第二次世界大戦で受けた連合軍の激しい空襲により壊滅状態となってしまう。
その後は、壊滅前の都市を取り戻そうと忠実に再現され、今では2000年の歴史を持つドイツ屈指の歴史ある町として発展を続けている。
Data
帰属連邦州 | バイエルン州 |
県(行政管区) | シュヴァーベン |
街道 | ロマンティック街道 |
人口 | 258,364人(2004年) |
郵便番号 | 86000-86199 |
お祭り | 510年の歴史をもつクリスマス |
有名な出身者 | モーツァルトの父 |
Myおすすめ度 | ☆☆☆ |
キャッチフレーズ | 募集中です・・・ |
公式サイト | www.augsburg.de |
Map
ドイツ南東部バイエルン州に属し、すぐ東には州都ミュンヘンがある。西にはバーデン=ヴュルテンベルク州があり、ミュンヘンとバーデン=ヴュルテンベルク州を結ぶ交通の要でもある。
また、南ドイツを南北に走るロマンティック街道を見ると、北にはドナウヴェルト、南にはランツベルクがある。GoogleMapを見る
Access
■ ミュンヘンからRE/RBで約45分
■ ヴュルツブルクからICEで約2時間
(ニュルンベルク経由)
■ シュトゥットガルトからIRE/REで約2時間20分
(ウルム経由)
■ ウルムからREで約1時間10分
※IRE/RE/RBは普通電車です。また、バイエルン州内であれば、週末と平日9時以降は、州内1日券が使えます。州内であれば、ICやICE以外は1人なら20ユーロで乗り放題ですのでお得です!
また、5人まで利用できるチケットは28ユーロで、1人当たり5.6ユーロと破格ですよ。
この町を訪れると、ミュンヘンとの栄華の変遷をどうしても考えてしまう。
今やドイツ、そしてヨーロッパを代表する大都市の1つ、バイエルン州都ミュンヘン。連邦制を敷くドイツにあっては、バイエルン州都というだけで一国の首都と同等と言ってもいいかもしれない。そして、その全てを空から見下ろしてみると、そんな大都市ミュンヘンの傍らで存在感を失っているように感じてしまうアウクスブルク。中世に『黄金のアウクスブルク』と呼ばれるまでに大変な栄華を誇っていたといわれても、何とも信じられない。
2000年の歴史をもつアウクスブルク。そして、1000年の歴史にも満たないミュンヘン。それが、16世紀にミュンヘンがバイエルン王国の首都となってしまった。
ドイツでは、それぞれの都市の独立色が非常に強く、それぞれの文化や風土に個々の特色があり、そこに住む人の愛国心、郷土愛というものは非常に強い。ここで、中世のある時点でミュンヘンがアウクスブルクを抜いたというのは語弊があるかもしれないが、少なくとも中世のアウクスブルクにあっては、そんな強い郷土愛からミュンヘンに対する意識はあまり良いものではなかったんじゃないかなぁ・・・なんて思う。
今までに仕事や旅行で計5回アウクスブルクを訪れたことはあるが、ミュンヘンに住んでいた僕は、そんなことを考えながらこの町を歩き、ミュンヘンとの大きな差にどうしてもため息をついてしまうことが多かった。
旅行をするときに、その町をある町と比較して見るのは良くない。どの町にも、その町独特の文化や歴史、雰囲気や気質があるので、どこに比べて劣っているということはないはずなのだ。
とはいえ、ドイツ・ルネッサンスの最高傑作といわれる市庁舎を見ても、「〜様式、〜建築」という表現に疎い僕には何ともしっくりこない。どんな町にもある大聖堂、このアウクスブルクの大聖堂は一見大した特徴もない。市庁舎に隣り合うペルラッハの塔にしてもそう。聖ウルリヒ&アフラ教会のパノラマには特徴はあるが、この町をトータルとして見てみたときに、町全体としての個性を感じ取ることが僕には難しかった。ドイツ人はしばしば「アウクスブルクは綺麗」というけど、う〜ん・・・って首を傾げてしまうのが正直な反応だった。
この日も、いつもと変わらぬアウクスブルクの町並み。ただ、クリスマスの時期ということもあり、市の露店が並び、人々の活気は違った。ただ、やはり一度植えつけられた先入観は大きく、クリスマスの装いに変化した町にさえも、特別な感情は湧き上がって来ない。なんか隣を歩いているホストファミリーのお兄さん家族に申し訳ない気持ちになる。アウクスブルクに住む彼にとっては、市庁舎広場のマーケットはさぞ誇り高いものだろう。黄金のアウクスブルクと呼ばれ、その全盛から続くこのクリスマス市。
そんな500年以上もの歴史をもつ、由緒あるクリスマス市に、家族と一緒に家に飾るクリスマスの装飾などを買いに来るのが毎年この時期の楽しみだという。それまではあまりいい印象のなかったアウクスブルクだったが、そんな家族と一緒に過ごしていたら、初めは邪魔をしていたこの町の地味な印象も、次第に温かいイメージへと変わっていった。
まだ3歳の小さな子供を連れたドイツ人家族。きっと彼の目には、幸せいっぱいの光景が広がっているんだなぁって感じた。日本人が日本のお祭りのお囃子などで日本人としての血を感じるように、ドイツ人の感じるクリスマス市は自分とは全く違うものなんだろうって思った。
いつの間にか僕はドイツ人に溶け込んでいた。寒空の下でグリューヴァインを片手に楽しそうに過ごす周りのみんなに、身も心も温まる。全てを聞き取ることはできないけれど、その幸せそうな雰囲気だけは、この場にいればすごく伝わってくる。おしくらまんじゅうではないけれど、屋台の前でみんなと談笑して楽しんでいたら、身を裂く寒さもこの空間だけには入ってこなかった。温かい空気に包まれていた。
町に灯りが燈りはじめた。辺りが暗くなると同時に集まる人の数も増えていき、ホットワインでいい感じに酔いの回った人もあちらこちらに出始める。そんな中で人ごみを抜け、ふっと我に帰ると厳しい寒さに身が凍える。でも、ワインの湯気につられて屋台に近寄れば、そこには温かい人々の心に触れられる。温かさと厳しい寒さの入り混じる不思議な雰囲気、明るさと暗さのグラデュエーション。そんな夕刻はふっと通り過ぎ、アウクスブルク、市庁舎広場にも夜が訪れた。
・・・・・・
そこには、黄金のアウクスブルクの名に相応しい、素晴らしく綺麗な夜の世界が広がっていた。ロマンティック街道最大都市に相応しい、まさにロマンティックな夜景の中に僕は立っていた。昔まだこの町を知らなかった頃抱いていた期待を、夜をまとったアウクスブルクの姿についに見つけることが出来た。夜灯りに照らされた市庁舎とペルラッハの塔がこちらを向いている。たくさんの人がカメラを向けるその堂々たる姿に、その威容をここで初めて感じた。
変な先入観を抱くと、人はその対象を何かと比べていつまでも否定したがる。僕も、この町を否定することで、他の町の良い所をもっと引き立てるようにしていたところがあったことに気づいた。でも、そのマイナスのイメージを一気に覆された衝撃は本当に大きかった。
その町にはその町の色がある。人それぞれ捉え方は違うかもしれないけど、僕は5回目にして見せてくれたアウクスブルクのこの一面を知り、自分が旅してきた今までの全ての町の魅力が、一気に花開いた気がした。そういう意味でも、この町に対する思い入れはすごく強い。
アウクスブルクのドイツ人達と一緒に飲んだグリューヴァイン。このかわいらしい長靴型のカップを見ていると、今でもあの温かいアウクスブルクの心に触れられる。そんな大切な宝物は、今でも僕の机の片隅に置かれている。
-町の小窓たち- |
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詳細はフリー写真de小旅行Terminal〜アウクスブルク〜でご紹介中です。
私自身、この町に対する初めの印象はよくなかったため、それ以降あまり見て回ろうとしなかったのが心残りです。きっと私の知らない所がもっと色々あるんだろうなっていう気持ちがあり、次にドイツに訪れるときにはもう一度じっくりと見てみたいって思っています。
でも、私自身5回目のこの町の訪問で得たものは本当に大きいものがありました。
これからドイツに旅行をされる方に私がここでお伝えしたいのは、「他の町とは比較せずに、その町にしかない文化や歴史、気質といったものを味わってほしい」ということです。
また、ドイツのクリスマスマーケットなど、イベントに参加したときには積極的にドイツ人に混ざっていきましょう!気さくな人達ばかりなので、きっと素晴らしい出逢いと思い出のきっかけになるはずです!
アウクスブルクでは、はっきりとした旧市街を感じることはできないかもしれません。見所としては、市庁舎広場を中心としてやや広範囲に点在しているという感じですが、歩いて十分見て回れる距離にあります。
私の知っている観光名所は、だいたいガイドブックにも載っているようなところですが、それ以外にもきっと隠れ物件に出逢えると思います。
市庁舎 | 1615年に建築された、ルネッサンス様式のドイツを代表する建築物。1944年の大戦で破壊されたが、その後忠実に再現されて現在に至ります。内部の黄金の間と呼ばれる広間は大変絢爛豪華な空間です。また、市庁舎正面に立ってみると、ハプスブルク家の双頭の鷲の紋章が堂々と描かれているのがわかります。 |
ペルラッハの塔 | 市庁舎を正面にして左側にある高さ78mの塔。中世においては見張り塔としても使われたということで、町を一望できる他、遠くアルプスまで見渡せることもあります。 |
聖ウルリヒ&アフラ教会 | 1477年にローマ皇帝マクシミリアン1世に寄進されたカトリック教会が聖ウルリヒ教会。一方1555年に増築されたのがプロテスタント教会の聖アフラ教会。双子の教会とも呼ばれ、同じ敷地に違う宗派の大小の教会があるという非常に珍しい教会たちです。 |
フッゲライ | 中世、黄金のアウクスブルクを築き上げた大富豪フッガー家。その豪商フッガー家の建てた世界初の集合住宅がフッゲライ。歴史的建造物として有名で、現在も戦火を免れた13番目の棟が博物館として公開されています。 |
大聖堂 | 9世紀〜14世紀にかけて建造された教会。内部の丸天井には世界最古のステンドグラスがあり、また旧約聖書の各場面が彫られている1000年以上前に作られたレリーフがあるなど、歴史的価値もとても高いそうです。 |
モーツァルトハウス | モーツァルトの父、レオポルト・モーツァルトの生家。つまり、モーツァルトの家系はアウクスブルクのあるシュヴァーベン地方であることがわかります。モーツァルトの肖像画や直筆の楽譜なども展示されています。ちなみにモーツァルト自身の生家はお隣オーストリアのザルツブルクです。 |
ツェッツラー宮殿 | 市庁舎広場から約5分の場所にある、ロココ式と呼ばれる様式の建築物。館内の一部は州立絵画館となっており、アウクスブルク出身の肖像画家として有名なホルバインの作品などが展示されています。 |
バウアータンツ | 1572年創業の由緒あるシュヴァーベン料理専門店。市庁舎広場から3分ほどのところにあり、モーツァルトやゲーテなども通ったというレストランです。この地方の味を是非楽しんでおきたいところですね。 |
実は結構見所があるんですよね。中世に非常に繁栄したという歴史の一端がご紹介できたかと思います。見た目の美しさよりも、その歴史の深さを感じながら回ってみると、大きな発見があるかもしれません。
のらりくらりと棒読みならぬ棒撮り(ボーっと録りました)の未編集ムービーを公開しています。画質が悪くて申し訳ございません。
途中でパカパカと馬車が歩いていきます。
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