日本語ではハノーバーまたはハノーヴァーとも表記されるこの町は、人口50万人を誇るニーダーザクセン州の州都。
市内には美しい庭園が広がり、ドイツ最大規模の見本市(メッセ)が開催され、中世ではハンザ同盟の一員となり、現在に至るまで商工業が非常に発達している。
かつてはイギリス国王も兼任したハノーファー選帝侯縁の地でもあることから、現在でも旧市街を中心としてイギリス様式の建物が残り、他のドイツの町とはまた違った一面も持っている。
10〜12世紀にかけては漁村に過ぎなかったが、次第に発展し、14世紀にはハンザ同盟にも加わり、都市として大変繁栄することになる。
決定的な転機は1636年。カーレンベルク公国がハノーファーに遷都し、1692年には通称ハノーファー選帝侯国、1714年にはハノーファー選帝侯がイギリス国王を兼任し、イギリスとの同君主国にまでのぼりつめる。その後一時的にフランスに占領されるが、1815年には再びハノーファー王国が成立し、その首都としての地位を確立。しかし、1866年にはプロイセンに併合され、第二次世界大戦では激しい空襲を受けて町の3分の2が焼失。現在ではニーダーザクセン州の州都として復興を果たし、ドイツ有数の商都となっている。
Data
帰属連邦州 | ニーダーザクセン州 |
人口 | 518,088人(2008年) |
国際的イベント | 国際花火コンテスト(夏) |
ハノーファー・メッセ(4月) | |
郵便番号 | 30001-30669 |
近郊注目スポット | ヴォルフスブルク フォルクスワーゲン(車)の本拠地 |
おすすめ度 | ☆☆☆ |
キャッチフレーズ | 国際的メッセの町 |
公式サイト | www.hannover.de |
Map
町にはライネ川が流れ、ミッテルラント運河もあるなど、水運でも要所となっている。全体として地形は平坦だが、南東方面にはハルツ山地がある。また、交通の面ではドイツ北部・西部・東部を繋ぐ中心に位置しており、アクセスの要となっている。
Access
■ ハンブルクからICで約1時間30分
■ ブレーメンからREで約1時間20分
■ ベルリンからICで約2時間
■ ケルンからICEで約2時間40分
■ フランクフルトからICEで約2時間20分
※REは普通電車です。ニーダーザクセン州内及びブレーメンとハンブルクであれば、週末と平日9時以降は、ニーダーザクセンチケットが使えます。IC、ICE、EC以外は5人まで有効で28ユーロで乗り放題ですので大変お得です!シングルでも20ユーロです。
北ドイツの港町ブレーメンから普通電車でおよそ1時間20分。ドイツを南と北で分断したとき、その北ドイツを旅行するには絶好のポジションにあるといえるハノーファー中央駅。ケルンやデュッセルドルフのあるドイツ西部にもいけるし、東にあるベルリンにも直通。更には魔女伝説で有名なハルツ山麓にあるゴスラー、ヴェルニゲローデといった町へ行くにも、ここハノーファーが起点となる。もっと言ってしまえば、そのハルツ山地から東に行くと、ライプツィヒやドレスデンといった旧東ドイツの主要都市にまで、流れの中で行けてしまう。そしてすぐ近郊には、木組みの家が立ち並ぶ美しい町ツェレや、メルヘン街道のハイライトであるハーメルンもある。
つまり、ここハノーファーは、その町の魅力もさることながら、フランクフルトと並んで、多くの魅力あるドイツの町を繋ぐ重要な町なのだ。すっごくありがたすぎる町なのだ!なーんてすごく肯定的に入ったのには、実は訳がある。
僕が初めてハノーファーを見たのは、自宅のあるミュンヘンからはるばる2週間の北ドイツ旅行をプランニングして、出発した初日のこと。ハンブルクに向かう電車の中でハノーファーに出会った。そしてその次に見たのが、その旅行でハンブルクからデンマークなどを回り、戻ってきた数日後。ブレーメンから電車に乗って、着いたのがハノーファーだった。
「お待ちしてました!」とばかりに、ハノーファーは両手を広げて迎え入れて・・・と思いきや、それを横目になんとも失礼な奴がいる。僕だ。
何と、そんなハノーファーを無視して向かったのは、近郊の木組みの町並みが魅力的過ぎる町・・・ツェレ。ハノーファーの北東で感激する僕に、「・・・」と言葉もないハノーファー。でも、そんなあつかましい日本人の僕でも、ハノーファーは数時間後にまた温かく迎え入れてくれるのだ。何という素晴らしい町!
そして、実に3回目の対面となったのが、ツェレに向かうために出発してからおよそ4時間後のこと。
「ようこそお出でくださいました!」
って紳士的な笑みで返してくれるハノーファーに、
「そんなそんな・・やめてください!どうぞお構いなくー。」って返す僕。そして、逃げるように中央駅をでて、何にも目もくれず真っ先に向かったのが、この町のシンボル的存在である新市庁舎。
途中、足元に引かれた赤い線で、「こっちですよ!どうぞお越しください!」とばかりに案内してくれようとするハノーファーが目に留まったが、チラ見しただけで、それを見事にスルーするという酷過ぎる僕。
そして、目的の新市庁舎が目の前に・・・。このときはさすがに「敬礼!」って感じだった。さすがにシンボルといわれるだけの見事な身なりに、それまでの失礼すぎる振る舞いをちょっと反省した・・・。しばし見入って・・・でも、何かを思い出したようにまた足早にどこかへ向かう僕。「ちょっとちょっと・・・お待ちくださいっ!もう少しゆっくりしていかれては・・・」なーんてハノーファーの引きとめようとする声を無視して、僕は一目散にある場所を目指す。
そして、町に繰り出してからわずか30分後・・・ゼーゼーと息を切らせて駆け込んだのが・・・またまた中央駅を出発しようとする電車。
「お待ちください!待って・・・待ってください・・・・・・」
駆け込んだ電車のドアの外側からドンドンと叩く音が聞こえるようなシチュエーション。まるでそんなハノーファーから逃げるように、また次の旅路へと向かう僕がいる。「待って・・・・」という声がだんだん小さくなり・・・とうとう聞こえなくなり・・・。
さあ、向かう先はハーメルン。心の中もすっかりハノーファーは消え去り、ハーメルン一色に塗り変わる。そう、ツェレから戻って、ハーメルン行きの電車が出発するわずか30分の間に新市庁舎だけを見る、という超強行スケを組んでいたのだ。申し訳ないけど仕方ない。許してちょうだいって心の中でちょっとだけハノーファーに謝ったのだった。
さて、ハノーファーを振り切ってまで向かったハーメルンだったが、またまた戻る時間が訪れた。そして、バツの悪い表情で再びハノーファー駅に舞い戻ってきたのは、さっきハーメルンに向かってからわずか3〜4時間後。
とんぼ返りしてきた自分を、今度はどんな表情で迎えてくれるのかな・・・さすがに今度ばかりはハノーファーに頭が下がる。そして、もう日の落ちた夜の町に繰り出そうとすると・・・
「綺麗な夜景を用意してお待ちしてましたよ!きっと戻ってこられるって信じてました!」
なんという紳士。ハノーファーに感動。この町は、町というより都会。曇っていた昼間とは違って、きらきらした光に飾られたハノーファーは綺麗に輝いていた。
商店がズラリと軒を連ねる整備された駅前通りなんて、まさに大都市そのもの。旧市街の歴史地区の小路は趣があり、レンガ造りのマルクト教会。そして、極めつけは昼間訪れた新市庁舎。暗闇の中に自ら光り輝く宝石のように、静かに夜の水辺を照らしているのだった・・・こに育む水鳥すら、その光景に言葉もない・・・そんな・・・夜景・・・。
「気に入っていただけましたか?明日はもっと素晴らしい一日になりますよ。」
・・・見入る僕にスイッチが入った!
「急げー!!」
20分後にはまたあそこにいた。そう、あのありがたすぎる場所。そして、何度もすれ違ってきた場所。そして、幾重の思い出がクロスする場所。ハノーファー中央駅。
「待ってー!・・・・・・!・・・・!・・・」
やっぱり僕は酷過ぎる・・・。夜の20時に向かった先は、ハルツ山麓にある魔女縁の世界遺産ゴスラー。
もう、あれ以来ハノーファーとは会っていない。でも、きっとまた迎え入れてくれるだろう。いや、迎え入れてください!-町の小窓たち- |
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詳細はフリー写真de小旅行Terminal〜ハノーファー〜でご紹介中です。
なんだか、ちょっと鬱陶しい感じの文章になってしまいましてごめんなさい。言いたいことは、「とにかくアクセスが最高によく、様々な町へ旅行に出かける起点となる町です」ってことと、正直あまり観光できなかったので、残念ながらじっくり紹介できません・・・ってことです。ハノーファー好きの方、本当に申し訳ございません!
また、文中に出てくるセリフは、もちろんただの幻想ですので、ご了承下さい。ただ、そんな強行スケジュールの中でも、新市庁舎やマルクト広場周辺の旧市街はなかなかよかったですよ。
ハノーファーの町を歩いていて、ふと足元に目を落とすと、何やら赤い線が引かれていることに気がつくと思います。これの線は、市の観光促進対策としてひかれたもので、ハノーファー市内の36ヶ所の観光名所をたどる形で約4,200mの距離をつないでいます。中央駅前の観光案内所の傍からこの“赤い線”が始まっていますので、これに沿ってハノーファーの見所をたどっていくのもいいと思います。だいたい2時間もあれば回れますよ!
ヘレンハウゼン王宮庭園 | グローサーガルテンやゲオルゲンガルテンなど、4つの庭園からできている美しい王宮庭園です。上空から見た風景は、幾何学的にデザインされているのがわかり、非常に特徴的で広大な庭園です。4つの庭園のうちのグローサーガルテンという庭園は、世界一有名なバロック式庭園と言われています。それから、ゲオルゲンガルテンの延々と2kmも続く菩提樹の並木道も有名ですよ。それから、欧州一という高さ82mの噴水もあります。 | |
新市庁舎 | 1901年から1913年に建造された、ハノーファーのシンボル的な建物です。高さ100mという丸天井のドームには、その傾斜にそった形で昇るという珍しいエレベーターがありますので、是非乗ってみてください!そして、塔の上からはハノーファー市街全体を一望でき、観光客には最高の名所となっています。 | |
マルクト教会と旧市街 | 旧市庁舎とマルクト教会の周辺はハノーファーの旧市街地区となっていて、レンガや木組みの建物が数多く残っています。中でも、14世紀に造られたという高さ97mのマルクト教会が最も目を引きます。また、教会の脇にはドイツの有名な宗教改革者ルターの像もあります。カフェやレストランもたくさんあり、大都市の中のくつろげる空間ですよ。 | |
シュプレンゲル美術館 | 世界最大のピカソコレクションがある美術館です。また、ダリといった20世紀を代表するアートの作品も収められています。 | |
国際花火コンテスト | 毎年夏にヘレンハウゼン王宮庭園で開催される国際花火コンテストです。世界中の素晴らしい花火職人がこの街に招待され、6日間にわたって夜空を彩る美しい花火が打ちあがります。ただの花火ではない、音楽などに合わせた、まさに芸術ともいえる壮大で豪華な花火のイベントです。 | |
ハノーファー・メッセ | 毎年4月に開催される世界最大規模の有名な見本市です。世界的にも非常に重要な最新テクノロジーなどを扱ったもので、世界中から6,000を超える企業が出展します。期間中には20万人以上の人が訪れ、ハノーファーの町自体が1年で最も活気付きます。この時期のホテルなどは割増料金になりますので注意してくださいね。 |
世界10大見本市のうちの5つを開催するというこのハノーファーですが、そんな国際的な面だけでなく、緑の多い庭園都市でもあり、もちろん歴史的建造物の並ぶ旧市街もあります。何よりアクセスがいいので、ちょっと立ち寄ってみたら素晴らしい発見があるかもしれないですよ。
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