森の真ん中という名前が表すとおり、アルプス山中の針葉樹の森に囲まれたところにポツンと息づいているミッテンヴァルト。かつてはアルプスを越すためのルート上にあったことから交易地にもなったが、現在では夏の登山や冬のスキーといったリゾートの村として観光客が集まるようになった。中世にはバイオリン造りが盛んで、現在も家々の壁にはフレスコ画が描かれているなど、芸術的な村という印象も色濃く残る。
ドイツ最南端にあり、オーストリアとの国境にも程近い、都市部からは隔離された辺境の魅力に包まれている。
ミッテンヴァルトは、中世から商人の町ヴェネチアから黄金のアウクスブルク、皇帝都市ニュルンベルクを結ぶ交易ルートにあった。このことから次第に村が形成されていき、文献上では1096年に初めてその名前が認められる。
その後、1305年には市場の権利を獲得し、市場町としてその後の歴史を歩むことになる。
現在のミッテンヴァルトを世界的に有名にしたのは、1689年に、弦楽器製作の世界的な偉人であるイタリアのストラディバリから学んだマティアス・クロッツが、その技術を伝えたことに由来する。それ以降現在に至るまで、バイオリンをはじめとした弦楽器の町として知られるようになった。
Data
帰属連邦州 | バイエルン州 |
人口 | 7,735人(2007年) |
観光街道 | アルペン街道 |
名産品 | バイオリンが世界的に有名 |
郵便番号 | 82481 |
特徴 | 家々の壁に描かれたフレスコ画 |
おすすめ度 | ☆☆☆☆ |
キャッチフレーズ | 生きた絵本(ゲーテより) |
公式サイト | www.mittenwald.de |
Map
周りをドイツアルプスに囲まれた、標高900mを超える山の中にたたずむ村。村には南から北へ、ミュンヘンへと繋がるイザール川が流れる。そのミュンヘンの約100km南にあり、ドイツでも最南端の町のひとつとなっている。オーストリアとの国境沿いの町でもある。
Access
■ ミュンヘンからRBで約1時間50分 (乗換なし)
■ ガルミッシュ・パルテンキルヒェンからRBで約20分
■ オーバーアマガウからバスとRBで約1時間20分
(オーバラウでRBに乗換)
バイエルンチケットだと、週末と平日9時以降、普通電車(RE/RB)とバスであれば、5人まで有効で28ユーロで乗り放題です。1人でも20ユーロです。
※また、このミッテンヴァルトから普通電車を利用し、約20ユーロでお隣オーストリアチロル州の州都インスブルックを2時間で往復できます。ハプスブルク家の王宮も置かれた魅力的な町ですので、是非一緒に旅行することをおすすめします。
白色で描かれる風景って、子供心に返るように、汚れない純粋な気持ちになる。
例えば、雪や雲。
そんな風景がこの村にもある。雪、雲、そして、大自然にきゅっと身を寄せ合うような家々。
白色の壁の家に住むこの村の人たちの心も、きっと何にも汚されないような清廉さをもっているんだろうな。うん、きっとそうだ。
茶色で描かれる風景って、僕にはなんだか、そこにあるものを守ってくれている大きな存在に見える。
例えば、大地や樹。
そんな風景がこの村にもある。大地、樹、そして、酷寒の冬から人を守ってくれる家々の屋根。
茶色の屋根の下で暮らすこの村の人たち、きっとみんなで守りあい、助け合い、手を取り合いながら生きているんだろうな。うん、きっとそうだ。
灰色で描かれる風景って、無機的で冷たいイメージが伴うけど、でも、何にも動かされないっていう力強さも感じる。
例えば、道路や岩。
そんな風景がこの村にもある。道路、岩、そして、背後に聳える堂々と切立つアルプス山脈。
灰色の力強い山脈に囲まれるこの村の人たち、こんな小さな村でも、他に負けじと歴史を受け継いできた力強さだってあるに違いない。うん、きっとそうだ。
緑色で描かれる風景って、生気や正気や精気といった、命のエネルギーを分け与えてくれるものだって思う。
例えば、樹の葉や野原。
そんな風景がこの村にもある。樹の葉、野原、そして、村を見つめるクリスマスマルクトのデコレーション。
緑色に飾り付けられた景色に生きるこの村の人たち、そこから湧き出すエネルギーを体いっぱいに取り入れ、活き活きと日々の生活を送っているんだろうな。うん、きっとそうだ。
桃色で描かれる風景って、やっぱりな女性的なイメージ、そして、風景じゃないけど、欧米では綺麗な肌も連想するらしい。
例えば、花や赤ちゃん。
そんな風景がこの村にもある。花、赤ちゃん、そして、真ん中から村中を見下ろす教会。
桃色に淡く染められた教会を中心に抱くこの村の人たち、女性や赤ちゃんたちを大切にする、きっと紳士的で優しく、誠実な人たちなんだろうな。うん、きっとそうだ。
青色で描かれる風景って、透き通ったような爽やかさがあり、永遠を意味するようにいつまでもどこまでも続く。
例えば、空や川。
そんな風景がこの村にもある。空、川、そして、そんな青空を映し出すたくさんのもの。
青色を映し出す雪解けやバイオリンが並ぶ窓ガラス、そんな何気ない光景を行き交うこの村の人たち、きっとその心、大空を映し出すように広く大きなものなんだろうな。うん、きっとそうだ。
七色で描かれる風景って、ある色からある色へと移りゆくグラデュエーションの中に、その表情や感情を思い描くことができる。
例えば、虹や夕暮れ。
そんな風景がこの村にもある。虹、夕暮れ、そして、村の家々を彩るフレスコ画。
七色のフレスコ画が紡ぎ出す表情、描き手の感情、そんな様々な思いに包まれているこの村の人たち、笑い、怒り、喜び、泣く・・・そんな人間臭さを素直に表現できる人たちなんだろうな。うん、きっとそうだ。
白色、茶色、灰色、緑色、桃色、青色、七色、そんな色彩が生み出すアルペン山麓の村、ミッテンヴァルト。
長い歴史の中、そしてこの大自然の森の中、独自の文化を創り上げ、それを今に伝える村、ミッテンヴァルト。
そして、そんな七色の風景の中で何気ない日常を送る素朴な村人たち。
そんな彼らの純粋な人間模様が描き出す村が、ドイツ最南端で光輝くミッテンヴァルトなのです。
村人たちを持ち上げすぎ・・・?アルプス山脈の森の中にたたずむミッテンヴァルトは、本文でお伝えしたような数々の彩によってできていると思います。
実際にお土産屋さんなどでその温かい心に触れられることができ、辺境の村ならではのぬくもりを感じ取ることができましたし、冬であっても、パステル風に淡く彩られた町並みになんだか寒さも吹き飛ぶようなホッとする気持ちになりました。
今回は冬だったので、雪に埋もれた姿を期待していたところもありますが、雪がなくても十分に情緒が伝わってくる素晴らしい村だと思います。また、夏に訪れたなら、より色彩に溢れた村を目にできるはずです。
のんびりとした空気の流れる癒しの旅行、素朴な中にもドイツのまた新たな一面を発見できたひとときでした。
ドイツ最南端の辺境にあるミッテンヴァルトの見所は、その自然に囲まれた温かみのある雰囲気と、家々に描かれた美しいフレスコ画、そして世界的に有名なヴァイオリンです。やわらかい雰囲気に包まれた、あらゆる芸術が織り成す、思わずホッとするような村です。2〜3時間もあれば十分に見てまわれると思いますが、終始心が穏やかな状態を実感できると思いますよ。
ベマルテ・ハウス | オーバーアマガウと同様に、ミッテンヴァルトにも家々の壁に描かれた綺麗なフレスコ画があります。もとは、この町に立ち寄った絵師が村人にもてなされたお礼として、家に綺麗な壁画を描いたのが始まりとされています。これらは村の文化財にも指定されており、ベマルテ・ハウスと呼ばれています。 |
ガイゲンバウ博物館 | 17世紀末以降、弦楽器製作の町として世界的に知られるようになったミッテンヴァルトですが、ここではそのバイオリン製作の名人技を見ることができます。 |
聖ペーター・聖パウル教会 | 1737年から1749年にかけて造られたバロック様式の教会で、オーバーバイエルン地方の最高傑作といわれる美しい教会です。外観はピンク色の非常に落ち着きのある絵本のような雰囲気で、聖ペトロと聖パウロのフレスコ画も描かれています。村人に愛されているという、本当に印象に残る綺麗な教会です。 |
マティアス・クロッツの像 | この町の英雄といってもいいでしょう。1689年に、イタリアのストラディバリから学んだバイオリン製作の技術をこの村に伝え、以後ミッテンヴァルトの名前を世に知らしめました。この像も、バイオリン製作にいそしむクロッツの姿を現しています。 |
これを見に行く!という強烈なインパクトを持った見所こそないものの、村全体が一度目にしたら忘れられないような素晴らしいところです。ゲーテが「生きた絵本」と呼んだというのも納得できます。近郊のオーバーアマガウ、ガルミッシュ・パルテンキルヒェン、あるいはオーストリアのチロル州都インスブルックと合わせて旅行することをおすすめします!
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