古城が見下ろす大学の町、ハイデルベルク。バーデン=ヴュルテンベルク州に属し、ドイツ最古の大学があることで有名。日本人観光客も多く訪れる非常に人気のある観光都市で、ネッカー川越しの情景がたいへん美しい街である。
ネッカー川に架かる石橋であるカール・テオドール橋、橋から続く旧市街入口のブリュッケ門、山の中腹にあるハイデルベルク城がおさまる風景・・・特に午後のオレンジ色の光が照らし出す街は、中世ドイツの魅力が全て詰まったようなとても印象的な雰囲気で包まれている。
ホモ・ハイデルベルゲンシス、通称ハイデルベルク原人が発見されたところから、この地には原始から人類の祖先がいたと考えられる。時を隔て、ハイデルベルクの地に住みついたのは紀元前500年頃のケルト人。その後、1〜3世紀にかけてはローマ人が居住し、ハイリゲンベルクの山頂に神殿が築かれるなど、ハイデルベルクのおおもとができる。
歴史にハイデルベルクの名が誕生したのは1196年。その後、この地域一体を治めるプファルツ選帝侯の御膝元として発展するが、17世紀の30年戦争、プファルツ継承戦争、フランス軍の侵攻などで破壊されてしまう。しかし現在は、第二次世界大戦で被害を免れた中世の街が残され、大学と共に観光文化都市ハイデルベルクの地位を確立している。
Data
帰属連邦州 | バーデン=ヴュルテンベルク州 |
街道 | 古城街道 |
人口 | 145,311人(2007年) |
郵便番号 | 69115-69126 |
お祭り | ハイデルベルク城演劇祭(7〜8月) |
旧市街のクリスマス市(12月) | |
お土産 | ハイデルベルク学生のキス(チョコ) |
Myおすすめ度 | ☆☆☆☆☆ |
キャッチフレーズ | ドイツ最古の大学都市 |
公式サイト | www.heidelberg.de |
Map
ドイツ南西部バーデン=ヴュルテンベルク州の最北西部に位置し、ヘッセン州やラインラント・プファルツ州との州境近くにある。旧市街北部にはネッカー川が流れ、街は広く丘陵に囲まれ、マンハイムとプラハを結ぶ長大な古城街道沿いの町でもある。GoogleMapを見る
Access
■ フランクフルトからRBで約1時間25分
■ シュトゥットガルトからREで1時間半
■ カールスルーエからS-Bahnで約50分
■ ヴュルツブルクからREとS-Bahnで2時間半
(オスターブルケン経由)
※RE/RBは普通電車です。バーデン=ヴュルテンベルク州内であれば、週末と平日9時以降は、州内1日券が使えます。ICやICE以外は1人なら19ユーロで乗り放題ですのでお得です!また、フランクフルトからはマンハイム経由でICEを利用できますが、約1時間25分で直通で行けるRBを利用する方がお得です。
「カランカラン・・・カランカラン・・・」街中から教会の鐘が鳴り響く。甲冑を身につけた兵士が脇を固める城壁の門、駆け抜ける騎士団、舞い散る砂埃とともに降りてゆく門格子。
歓喜に満ちた華やかな光景、トランペットが響き渡る典雅な光景、貴婦人やナイトが通りを行き交う光景・・・中世ドイツの城下町。
どこかの映画にでも見かけるようなシーン、それが僕の抱いていた中世ドイツに対するイメージだった。
ハイデルベルクは、僕が大学生時代に初めてドイツを訪れたときに、最初に観光することになった思い出の街。今思い返してみても、当時の新鮮な目に焼きついた街の風景は、あまりにも印象的だった。
目の前には、時を歩んで姿を変えたであろう町並みと、半ば崩壊しかけた古城。僕のイメージに登場したナイトや貴婦人はどこにもいなかった。でも、カール・テオドール橋に立って旧市街を眺めたとき、現在に期待するには無茶すぎるはずの中世ドイツのイメージが、目の前に違和感なく溶け込んでいったのを覚えている。そして、そのイメージを最も忠実に再現していたのが、旧市街入口に構える門塔「ブリュッケ門」だった。
6年振りに訪れるハイデルベルク。あの時はツアー旅行、憧れ100%のハイデルベルク、まさか留学しながらまたこの地を踏むことになろうとは考えてもいなかった。
同じ場所に何回も旅行をすると、思い出がどんどん上塗りされて、脳裏にちらついている当時の記憶が薄れてしまう。僕には、記憶が上塗りされてしまったドイツの町が幾つかある。ミュンヘン、ローテンブルク、ノイシュヴァンシュタイン城がそう。もちろん昔の思い出も消えてはいないけど、再訪によって薄れてしまったのは事実。だから、その当時の思い出が大切なものだからこそ、いつまでもこの街だけは、「記憶の中のハイデルベルク」で留めておこうって決めていた。(変かもしれないけど、この感覚がわかるって方もいらっしゃいますよね・・・?いないかなぁ・・・)
でも結局、やっぱりあの美しいハイデルベルクをもう一度っていう衝動に駆られて、こうしてクリスマスに装いを変えたこの地に来てしまったのだ。(ちなみに、ライン川沿いにリューデスハイムという、ワインで有名な町があります。この町は、今でも僕の中では記憶の町として、初めてドイツを訪れたときの初心な感覚が残っています。)
今回は電車旅行。クリスマスマーケット、グリューヴァインカップ集めを兼ねた観光として、ちょっと駆け足な感じになったけど、クリスマス市が開かれているマルクト広場に面する絶好のロケーションのホテルを予約しての旅行となった。
バート・ヴィンプフェンを発ちREで約50分、ハイデルベルク中央駅に着く。なんだか久しぶりに活気ある町に来た気がする。さっき寄ったばかりのバート・ヴィンプフェンは、いわば隠れ町のようなところ。紛れもなく古城街道の至宝といえるような美しい町だが、ハイデルベルクと比べれば知名度も遥かに低い。
やや日も落ちかけ、相変わらずの曇り空の下、中央駅から真直ぐ伸びる大通りを旧市街方面へと進む。15分ほど進むと、いよいよ旧市街手前のビスマルク広場。車ばっかりの幹線道路も反れ、いよいよ街も活気付き始める。大きな町の繁華街には必ずといっていいほどある、ドイツの有名なデパート「カウフホーフ(Kaufhof)」を見れば、もう市街地の中心だなぁって自ずと分かる。それに今日はクリスマス市。辺りには多くの学生らしき若者、観光客たちが、湯気の立ち上る露店の周りを囲んでいる。どこにでもあるドイツ12月の光景がここにもある。
ここまで来ると、昔の思い出がちらほらと記憶の扉からこぼれ始める・・・「あーっ、あの店・・・確か長居しすぎて、バスの集合時間がギリギリになったな」、「あの日泊まったホテルって確かあの辺じゃ・・・?」って、ぼんやりなのに絶対そうだ!って決め付けたくなる場所があちこちに現れ始める。なんだか目頭が熱くなるような感覚、6年前に初めて体験したドイツの町並みが、今目の前にある。ぼやけた記憶は、旧市街を東西に走るハウプトシュトラーセを歩くうちに徐々に鮮明になっていく。でも、中ほどにあるハイデルベルク大学旧校舎脇の広場では、昔とは違う空間が広がっていた。屋根にちょっとしたデコレーションが施された屋台がたくさん立ち並び、学生らしいドイツ人たちがたくさんいる。特筆するような特徴もないけれど、ハイデルベルクのクリスマスにいるってだけで何だか嬉しくなる。でも、特に変わったところもないようなクリスマス市でも、他の町と明らかに異なるオリジナリティーがあった!
ハート型の取っ手の可愛らしいグリューヴァインカップ。いかにも学生の町が生んだような、女の子が好みそうな可愛らしいカップ。あちらこちらの赤いハートから湯気が立つという面白くも微笑ましい光景が、このハイデルベルクのクリスマス市を包み込んでいた。
更に進むと、聖霊教会前のマルクト広場でもマーケットが開かれていた。懐かしさと新鮮さが入り混じる不思議な感じ・・・ここまで来ると、右手にはかつて見たハイデルベルク城も姿を現す。この旅では城の建物の内部には入らなかったが、敷地内のテラスから見下ろすロマンチックなクリスマスの夜景がとても印象に残った。
もうすっかり真っ暗になった夜のハイデルベルク。昔の思い出を懐かしむと同時に、クリスマスに訪れたことで新たな発見もした。先ほども書いたように、たくさんのハートが街中に見られるということ。由来はわからないが、学生達の町が生んだようなユニークなデザインのカップが、この町のクリスマスの雰囲気を一層盛り上げていたような気がする。それに、ハイデルベルク城にある幸せの城門、そしてブリュッケ門の傍にある鏡を持った猿の像、これらにしても、学生の間で広まっていった幸せの碑なのかなって思った。
翌朝、街を発つ前に、最後にあの光景に逢いに行った。僕の中世ドイツのイメージを支配していたあの思い出の光景、かつては城壁の一部だったというブリュッケ門に。カール・テオドール橋の中央に立ち、旧市街を振り返った。
・・・目の前いっぱいに、背後にハイデルベルク城の見下ろす、あの頃と変わりない情景があった。そこにはもちろん騎士団もいなければ、トランペットの音も聞こえない。でも、やっぱりあの頃と変わりない中世ドイツの勝手なイメージが、もう目の肥えてしまった僕の中にもまだ残っていた。何だか嬉しかった。でも、今見るハイデルベルクは、かつて抱いたイメージとは別の雰囲気、たくさんのハートにも包まれているように見えた。
-町の小窓たち- |
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詳細はフリー写真de小旅行Terminal〜ハイデルベルク〜でご紹介中です。
今回の旅行は本当に駆け足になってしまいました。実際には15時から翌日の8時くらいしか滞在できませんでした。思い出の語りになってしまって、あまり町の紹介にならなかったかもしれません。ごめんなさい・・・。
かなり偏った見方の内容になっているかもしれませんが、ハイデルベルクには一般的に見てもたくさんの見所があります。きっと気に入っていただける街だと思います。
その中でも、今回特に注目したのは、恋愛や幸せにまつわる点です。ご紹介したような幸せのポイントが幾つかあり、夫婦やカップルで訪れると一層思い出の残る街になるはずです!是非是非いろいろ回ってみてください。
個人的な思い入れとしては、ブリュッケ門ですね。何だかあの姿形や、今にも降りてきそうな格子の様子が心を捉えるんです。みなさんもじっくり見てみてください。ちなみにハートのカップは、クリスマス特集ページでご紹介する予定です!
旧市街対岸の丘の中腹にある哲学者の道をはじめとしたスポットからは、ハイデルベルクの非常に美しい景観を楽しむことができます。旅行でのベストショットになるかもしれません。その他、格子のかかったブリュッケ門は中世ドイツの雰囲気抜群ですし、年月の重みを感じるハイデルベルク城も見事な観光スポットです。学生街ということで、旧市街には若者向けの店など様々なお店もあります。楽しい旅行になること間違いありません!
ハイデルベルク大学 | 1386年、プファルツ伯ルプレヒト1世によって創設されたドイツ最古の大学。ノーベル賞受賞者も数多く輩出している超名門校でもある。1712年に建てられた旧校舎は旧市街ハウプト通りにあり、創設500年記念の装飾が施された講堂も見学可能です。また、法外法権を持っていた大学には学生牢もあり、1912年に閉鎖されるまでの囚人達の生々しい獄舎生活の跡が窺われます。その他、大学図書館では14世紀の詩人達の詩を収録した「マネッセ・リート写本」と呼ばれる有名な写本も見ることが出来ます。旧校舎や学生牢に挟まれた大学広場では、12月には多くの学生達でごった返すクリスマスマーケットを見ることが出来ます。 |
ハイデルベルク城 | 旧市街背後にある小高い山の中腹に立つ古城です。14世紀から16世紀に増改築が繰り返され、その後幾多の戦火に見舞われたこのお城。それ故に、様々な建築様式が混在し、生々しい多くの傷跡を残しています。内部には幾つかの見所があります。
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ブリュッケ門 | ネッカー川に架かるカール・テオドール橋側からの、旧市街入口に構える門塔です。門の上部の柵は落とし格子となっていて、中世ハイデルベルクでは、夜になるとこの柵が落とされたそうです。 |
カール・テオドール橋 | 1786年〜1788年にかけてカール・テオドール選帝侯が建造した、長さ220m程の強固な石橋です。橋の南側にはカール・テオドール候の像があり、その足元にはドイツを代表する河川、ドナウ・ネッカー・ライン・モーゼルを表すという4人の像があります。 |
聖霊教会 | プファルツ選帝侯の墓となっていた教会でしたが、17世紀後半に勃発したプファルツ継承戦争の際にフランス軍に破壊されたそうです。現在では建造者のルプレヒト3世と妃の墓だけが残されています。また、高さ82mの塔からはハイデルベルクを一望できます。 |
哲学者の道 | 旧市街とネッカー川を挟んで対岸にある丘の中腹にある小道です。ヘーゲルなどのハイデルベルクの哲学者がよく歩いたといわれることから、この名前が付けられました。ここからはハイデルベルクの美しい全景を撮ることができます。ちなみに、京都にも哲学の道がありますよね。 |
鏡を持った猿の像 | 旧市街側からブリュッケ門の左側にあります。写真スポットとしても観光客に人気があります。猿の持つ鏡に触ると、金持ちになるといわれています。 |
ツム・リッター | 聖霊教会脇にある、上部にナイトの像があるホテルです。現存するハイデルベルクの建物の中で最も古く、16世紀に建てられたものだそうです。 |
ハイデルベルク城演劇祭 | 7〜8月にハイデルベルク城内で行われる演劇祭です。本物のお城を舞台にした演劇ということで、この種では世界的にも有名なお祭りだそうです。 |
丸1日かけて観光して丁度いいくらいのボリュームかなぁって思います。特にハイデルベルク城だけでも多くの見所がありますよ。哲学者の道、城内のテラスからなど、たくさんの綺麗な写真もとれるはずです!
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