ドイツといえば・・・マイセン!と答える方も多い、そんな世界に名をとどろかすマイセン磁器。その高級陶磁器の発祥地として知られるマイセンは、ザクセン州を代表する観光地のひとつでもある。
王都ドレスデンからのアクセスもよく、大聖堂とアルブレヒツ城がシンボルをなす旧市街の風景や、その前を流れるエルベ川など、その魅力は様々なところに見ることができる。
マイセンが文献上に初めて登場したのは西暦929年のこと。事実上の初代ドイツ王、ハインリヒ捕鳥王によりミズニ城が建てられる。その後1423年頃まで伯爵領が存在し、またエルベ川の水運や鉱山採掘による交易などで富を得、次第に発展することになる。現在マイセンのシンボルとなっているマイセン聖堂は1250年、アルブレヒツ城は1470年頃に建てられたことも、当時の繁栄を物語っているといえる。
そして、マイセンが何より歴史に名を残すことになったきっかけは、時のザクセン王アウグスト強王による白磁製法発明の命による。これにより1709年に西洋初の白磁生産に成功し、以後超高級陶磁器であるマイセン磁器は世界中に知れ渡ることとなった。
Data
帰属連邦州 | ザクセン州 |
人口 | 27,856人(2007年) |
河川 | エルベ川 |
お土産 | 様々な種類のマイセン磁器 マイセンワイン |
郵便番号 | 01654-01662 |
おすすめ度 | ☆☆☆ |
キャッチフレーズ | エルベのマイスター |
公式サイト | http://www.meissen.de/ |
Map
ザクセン州都であるドレスデンの北方約25キロに位置し、旧市街に沿うようにしてドイツを東西に流れるエルベ川がある。また、約100キロ西にはライプツィヒがある。
エルベ渓谷に続く場所でもあるため、標高も100メートル程ある。
Access
■ ドレスデンからSバーンで約40分 (乗換なし)
■ ライプツィヒからREとSバーンで約1時間40分
(ドレスデンでSバーンに乗換)
■ ベルリンからECとSバーンで約3時間15分
(ドレスデンでSバーンに乗換)
ザクセンチケットを使用すれば、ザクセン州/テューリンゲン州/ザクセン・アンハルト州内について、週末と平日9時以降、ICE/IC以外であれば5人まで有効で28ユーロで乗り放題ですので大変お得です!1人でも19ユーロです。
今人間社会は、グローバル化だなんていわれているようだ。航空機がこのマイセンの空をよく横切っていくのが見える。あの乗り物に、ここによく来る観光客達がたくさん乗っているのか・・・。
でも、俺らの世界なんて、そのずっとずっと前・・・今から300年前からグローバル化が始まっていた。
時のザクセン公アウグスト強王から命を受けた、錬金術師のベドガーさん・・・俺らにとっての創世者。言ってみれば神様みたいなもんだ。
ここヨーロッパ初の白磁製法を編み出し、俺らの仲間の歴史が始まった。東洋ではもっと以前から生まれていたようだが、ヨーロッパ白磁の誕生と言うことで、その後大騒ぎに・・・そして、そこからあっと言う間に世界に広がっていったんだ。ザクセン王国の宝石として・・・。
でもまさかこんなに有名になれるなんて思ってもなかったな・・・。
ここアルブレヒツ城から生まれた俺らは、誕生後まもなく大地の隅々へと巣立っていく。さっき大空を横切った飛行機のように、大空を羽ばたいていくやつもいれば・・・目の前のエルベ川を渡る船に揺られていくやつもいる。石畳のぼこぼこで割れないように慎重に運ばれていくやつもいれば・・・世界中からやってくる観光客のリュックサックに守られて故郷を離れるやつもいる。
300年・・・この長い月日の間に世界中に散らばった俺らの仲間・・・一体どれだけいるのだろう・・・。「みんな帰って来い!」って言って、彼らの土産話を聴けたなら、時と空間を越えた果てしない世界を感じることができるのか・・・。世界中にいったいどれだけの国があるのか・・・きっと俺らの仲間は全ての土地の空気を知っているに違いない。
このアルブレヒツ城から見下ろすマイセンという町。俺が生まれる前は、どんな場所だったのか。でも観光ガイドの声を聴いていると、どうやら中世からあまり変わっていないらしい。目の前のマイセン聖堂・・・あんなドでかい尖塔が、何と俺らの生まれる400年以上も昔の13世紀に生まれていたらしい。人間って凄いな・・・つくづく思う。
見下ろす市街地にぽっかりとハゲている場所がある。あそこはマリエン広場といって、中世マイセンの中心地だったらしい。その周りには市庁舎や聖母教会がある。・・・そういえば、聖母教会に送られていったという俺らマイセン磁器の鐘・・・今でも頑張っているな。町に綺麗な音を響かせ、俺にも語りかけてくれる。
今日も俺らの仲間がたくさんエルベの橋を渡っていく。観光客たちの背中にしょわれたリュックの中で、俺にさようならを告げていく。
アルブレヒツ城にいると、全ての仲間達の晴れやかな笑顔や、故郷を離れる寂しい表情、そんな様々な感情を見ることができる。
そして、俺はそんな奴らの晴れの門出に、祝いの舞を見せてやることにしている。みんながどう思っているかは知らないけど、それをやる度に、新世界に旅立つ彼らの不安な心を取り除いてあげられる気がするんだ。
それに、この高台はマイセンのシンボル。最後に見るこの城と大聖堂は、故郷の忘れられない風景としてきっと心に刻み込まれるに違いない。
俺はこんなことばかりを考えながら・・・300年、マイセンのアルブレヒツ城にいる。仲間のこと、命を吹き込んでくれるマイスターのこと、創世のベドガーさんやアウグスト強王のこと、そして観光にくる人間達のこと。
見下ろす世界は素晴らしい。自然に融和したマイセンの町、温かい人間達の心に触れられ、幸せな気持ちでいっぱいだ。でも・・・
最近エルベを漂うゴミ、行儀の悪い観光客たちが落としていくゴミ、日常生活で要らなくなったのか・・・まだ使えそうなのにゴミとして捨てられるたくさんの物が目立つようになってきた。
俺らの仲間は、いわばエリート。人間達に好まれ、特に嫌な思いもせずに平和に暮らしていける。でも、俺にはそれが逆に辛く思えてきた。俺らみたいな愛される陶磁器もいれば、すぐに捨てられてしまうような物もたくさんある。その違いって何なのか・・・。俺らには俺らにしかない素晴らしさもあるが、他のものだって俺らにはない素晴らしさがあるはずだ。いわば同じ”物”として、俺らは捨てられていく彼らの気持ちがよくわかるんだ。300年生きてきて、俺はここまで悔しい気持ちになったのはあの大戦以来だ・・・。
世界中に旅立った仲間達が大切にされていることを願うのはいうまでもない。でも・・・俺らだけが特別じゃない。
-町の小窓たち- |
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詳細はフリー写真de小旅行Terminal〜マイセン〜でご紹介中です。
今回は特別なテイストで綴ってみました。読んで下さってありがとうございました。主人公は、最後の写真で出てきたマイセン磁器です。300年前に造られてアルブレヒツ城にあるという設定ではありますが、もちろんこれはこの話の上でのことです。
マイセン磁器の目線で綴って、最後にベタですがひとつのテーマを投げかけてみました。ゴミ問題を少しでも考えていただけるきっかけになれば嬉しいです。
ドレスデンから40分ほどで行けるので、ドレスデン観光とあわせて行くようにしましょう!陶磁器のブランド名ばかりが先行していますが、マイセンは中世の面影を残すなかなか素敵な町ですよ。
国立マイセン磁器製作所 | マイセン観光の最大の見所といえる場所です。マイスターたちがマイセン磁器を製作している様子を見ることのできる見学工房と、合計2万点を超える収蔵物に、3000もの磁器展示品を見ることのできる美術館も供えています。値段にすれば1千万円を超えるような陶磁器ばかりですので、圧倒されること間違いなしですよ!見学工房には、日本語の無料ガイドフォンもありますので、じっくりと製作過程を追っていくことができると思います。工房と美術館で入館料8ユーロ程度ですので、是非マイセン磁器を堪能してきてください! |
ニコライ教会 | 磁器製作所の近くにある小さな教会ですが、最大の見所は内部のマイセン磁器による装飾です。マイセンの観光スポットには、こうしたマイセン磁器をふんだんに使用した装飾を見ることができます。 |
アルブレヒツ城 | マイセン駅からエルベ川に出ると、早速対岸の高台にマイセンのシンボルが見えてきます。マイセン聖堂とアルブレヒツ城です。聖堂は城の内部にあるので、高台の頂にある建物群がアルブレヒツ城の全景です。1470年頃に建てられています。また、1708年にはアウグスト強王から磁器発明を命ぜられた錬金術師のベトガーによってマイセン磁器が誕生し、1710年に正式に製造されるようになりました。 |
マイセン大聖堂 | アルブレヒツ城の中で、一際目を引くゴシック大聖堂です。13世紀に建てられ、エルベ川越しのマイセン旧市街のシンボル風景を作り出しています。また、内部の祭壇にはマイセン磁器製の十字架像と燭台があります。 |
聖母教会 | 旧市街のマルクト広場にある後期ゴシック様式の聖母教会は、1416年から1500年頃にかけて建てられました。内部にはマイセン陶磁器製の鐘があり、この鐘自体も見所となっています。 |
マイセン観光にはマイセン磁器は必見です。製作所だけでなく、町の様々なスポットにマイセン磁器が使われているところに注目して旅行してみてください。宝物探し感覚できっと楽しいと思いますよ。
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