ドイツ中西部、ニーダーザクセン州の歴史都市ゴスラー。魔女伝説の縁の地、ハルツ山地の麓に位置しており、近郊にあるランメスベルク鉱山と共に1992年にユネスコの世界遺産に登録された。
その非常に美しい旧市街には、11世紀に築かれた皇帝居城や木組みの家々が整然と立ち並び、ドイツの他の町とはまた異なった雰囲気を醸し出している。メルヘンチックともロマンチックとも言い表せないような、不思議な感覚に包まれた独特の町並みを見ることができる。
968年に発見されたランメスベルク鉱山から銀が採掘されるようになり、ゴスラーは輝ける歴史を歩み始める。1050年には神聖ローマ帝国ハインリヒ3世がこの地に城を築き、1253までの約200年間皇帝都市としての地位を保つ。
そして、13世紀末にはハンブルクやリューベックが中心となるハンザ都市同盟の一員となり、同時に帝国自由都市ともなったゴスラーは大いに発展することになる。その後しばらく栄華が続くことになったゴスラー。しかし、そんな都市にも転落の時が訪れる。16世紀に起こったブラウンシュヴァイク公との戦争に敗れたゴスラーはランメスベルク鉱山を失い、その後衰退して現在のような小さな町へとなる。
Data
帰属連邦州 | ニーダーザクセン州 |
人口 | 42,484人(2007年) |
有名なお祭り | ヴァルプルギスの夜(4月30日) |
お土産 | ハルツの木彫りなどの工芸品 |
世界遺産 | ゴスラー旧市街 |
ランメスベルク鉱山 | |
郵便番号 | 38640, 38642, 38644 |
おすすめ度 | ☆☆☆☆ |
キャッチフレーズ | 募集中です・・・ |
公式サイト | www.goslar.de |
Map
ドイツ中西部ニーダーザクセン州の最南東部にあり、ドイツ全体で見てみれば中央上部に位置している。また、北海から吹き付ける風をブロックするハルツ山地の北の麓にあるために雨や霧の日なども多く、それがこの町の神秘な雰囲気を作り出す一因ともなっている。
Access
■ ハノーファーからREで約1時間
■ ヴェルニゲローデからREで約50分
■ ブレーメンからREで約2時間40分
(ハノーファー経由)
■ フランクフルトからICEとREで約3時間20分
(ヒルデスハイム経由)
■ ライプツィヒからREとS-Bahnで約3時間20分
(ハレ経由)
※REは普通電車です。ニーダーザクセン州、ブレーメン及びハンブルク間については、週末と平日9時以降は、ニーダーザクセン1日券が使えます。IC、ICE、EC以外は5人まで有効で28ユーロで乗り放題です!1人でも20ユーロですよ。
ハノーファーから約1時間。鉄道駅からゴスラー旧市街を突っ切り、ユースホステルに急ぐ。もう夜の10時も過ぎ、旧市街周辺はやけにシンと静まり返っていた。それに、体に当たる風が、おかしな形容だけど妙にドロっとした感じがある。
闇の中には街灯がぼんやりと鈍く光っている。ここで初めて気づいてしまった。辺りに霧が立ち込めてきているのだ。さっきまでは、闇の中にも綺麗な木組みの家が並んでいる様子に、明日の散策に胸をわくわくさせていたが、ちょっと待った・・・急に様相が変わってきたぞ。物音ひとつしない町、まるで何かに怯えるかのような町にすら見えてきた。もしこの旅行が大学の卒業旅行とか、親しい友人達との旅行だとしたら・・・きっとコワスポに来たような感覚、キャーキャー騒いでいただろう。
実はこのゴスラー、中世の魔女狩りの舞台ともなったハルツ山地の北麓にある町。ハルツ山地の最高峰ブロッケン山には、毎年一回魔女や悪魔、妖怪などが集まって饗宴を開くという言い伝えがあるのだ。実際に地理的にも霧が発生しやすいハルツ地方では、ブロッケンから生まれた妖怪たちが徘徊するという噂もある。もちろんそんなものは伝説に過ぎないが、魔女とされた多くの女性達がここで殺されていったというのは事実。それに、何といっても今初めて訪れた未知の町、暗闇の中を1人で霧に巻かれながら進む・・・怖くはないが、妙にわくわくしてくるシチュエーションに楽しめた一時だった。
結局残念ながら(?縁起でもないけど・・・)その後は何も起こらなかった。でも、悪魔などの伝説がハルツ地方に長く言い伝えられてきたっていうのは正直頷けるものがあった。イメージが支配するだけでなく、実際に神秘的な雰囲気があるゴスラー、しかも霧に包まれた不気味な夜を見ることができたのは、この旅行での1つの思い出。日本の幽霊スポットとはまた違ったドイツのガイスト(Geist)スポットを体験できたのが良かった。
翌朝。
旧市街の裏の丘陵、つまりハルツ山地の北の一番縁にあるユースホステルで一晩を過ごした僕。今日はゴスラー、ヴェルニゲローデと魔女縁の町を回る1日。古城やら大聖堂やらを見て回るのもドイツ観光の醍醐味だけど、こうして伝説の地を回るのもすごく楽しみ。雨上がりの滑る泥道に腰が引けたが、ゆっくりゆっくり慎重にホステルのある丘から旧市街へと降りていった。
そしてすぐに目に入ってきたのが左の写真。闇夜も過ぎ去り、霧ももうほとんど晴れたゴスラーは、こんなモノトーン調の木組みの家が立ち並ぶ綺麗な町だった。まだ朝も早く、人通りもほとんどない。まだ眠りから覚めないような町は、なんだか神秘的な雰囲気が漂っていて、地図を見るのも忘れて何かに導かれるように入り組んだ小路をどんどん進んでいってしまった。そうして・・・案の定すっかり道に迷ってしまった。
不思議の世界に迷い込んだような感覚。この雰囲気、どこから来ているんだろう・・・?やっぱり中世から魔女だの妖怪だのの伝説が言い伝えられてきたっていうところからイメージが先行しているのかな?・・・でも見た目からして明らかに違う。モノトーン調を基調にしながらも、多くの建物でなんだか東洋風の模様が描かれている。いわば「東西折衷」って言い表せるような感じで、美しい町並みが広がっているのだ。
さてさて、割と大きな道に出た。同時に観光客の方たちがちらほら現れ始めた。そこはドイツのツアーガイドにも紹介されている、小川と木組みの家が美しい、ゴスラーでも指折りの写真スポットの一角だった。Hoher Weg(GoogleMapの丁度Goslarと書いてある辺り)というこの道からは、右のようなマルクト教会をバックにした写真や、町の小窓のコーナーの10番目の写真(ツアーガイドの写真スポット)のような景色が撮れる。旧市街南西の方を彷徨ったこれまでのモノトーン調の町も不思議な美しさがあったが、やっと息吹を感じたこの光景にちょっとホッとした。
そして、ここから南下した突き当りには、ドームホールと呼ばれる、かつての聖シモン&ユダ教会の名残がある。もう取り壊されてしまった教会の一部として残されたこの建物、なんだか教会の墓のように見え、昨晩目にしなくてよかった・・・って思った。更に、このドームホールの目の前のなだらかな丘の上に建っていたのが、かつてのゴスラー最盛期の証ともいえる皇帝居城。なんだか華やかさもなく地味な印象を受ける建物だが、1000年近い長い歴史をもつ偉大な建造物(1879年に修復)なのだ。
次から次へと出てくる観光スポット。でも、今日のメインは次に訪れる町ヴェルニゲローデだと前々から計画していたので、あまりゆっくりする時間もなく、旧市街の中心マルクト広場へと向かった。
Hoher Wegを引き返し、先に見えるマルクト教会へと進む。さっき通ったスポットには更に観光客も増え、町がだんだん活気付いてきた。そして、この町が魔女縁の町だって実感したのは、沿道のお店のショーウィンドウに並べられている魔女グッズ。中には、入口の前にほうきを持った魔女の人形が出迎えている店すらあった。そんな面白い眺めを楽しみながら、マルクト教会手前の小路を右へ曲がった。
ズラッと立ち並ぶゴスラー調の木組みの建物の奥に、やっと町の中心にたどり着いた。朱色が鮮やかなカイザーヴォルトが一際目を引き、建築500年前後という歴史的建造物が堂々たる構えを見せている。そして、足元を見て気づいたのは、赤と灰色のレンガで描かれた無数の線がマルクト広場中心のある場所に向かっていること。その直線は、広場の中心で金色に輝く鷲の噴水から四方八方に広がっているものだった。まるで、金色の輝きが辺りを照らすように広場中に敷き詰められた石畳が、本当に美しかった。そして、まさにこの場所がゴスラーの中心なんだなって実感できた。
マルクト教会を抜け、旧市街入口近くの聖シュテファン教会まで進んでいくと、突然曇っていた空から光が差し始めた。霧に包まれていた昨晩、朝霧を抜けて見た不思議なモノトーン調の町並み、更には流れてきた歴史と重なって、ゴスラーのイメージはまさに「神秘の町」に等しい印象を受けた。今差し込み始めた太陽の光、「引き返せばもっと綺麗な写真が撮れる!」って思ったけど、でもやっぱり・・・この町はモノトーンの神秘な印象を抱いたまま帰ろう。
神秘の世界遺産都市を後にし、ハルツ最大の観光名所「ヴェルニゲローデ」へと向かった。
ゴスラーの滞在時間は、実質2時間程度でした。しっかし、観光ガイドなどには霧が頻繁に発生する町だとは書いてありましたが、まさか夜の暗がりの中で本当に霧に遭遇するとは思いもよりませんでした。リアルに心霊スポットなどで悲鳴をあげているような光景が浮かび、正直ちょっとだけビビってしまいました・・・
旅行前はヴェルニゲローデをメインとして考えていて、途中のゴスラーでユースホステルで安く泊まって・・・みたいな計画で、世界遺産都市ながらそこまで期待はしていませんでした。ところが、いざ蓋を開けてみたら・・・ドイツの都市のどのタイプにも当てはまらないような雰囲気で満たされている町で、独特の美しさが大変印象に残ることとなったんです。木組みの家々という部分では、ドイツの他の小さな観光都市と共通の部分はあるものの、ここゴスラーはいわゆるロマンチックやメルヘンとは違った空気が流れています。
ハルツ山地、ブロッケンの妖怪や魔女伝説などが残る町のひとつであるゴスラー、ドイツのたくさんの町を旅してきた方であっても、また新しい発見のある町だと思います!
この町は、何とも言えない不思議な雰囲気に包まれています。メルヘン街道にある木組みの町とも違いますし、ロマンチック街道の赤茶の屋根の町並みとも違います。町全体が灰色、モノトーンの世界観があり、家々の装飾もどことなく東洋が融合された感じがあります。また、様々な建物にレリーフが施されているところも見ものです。
またこの町は、中世から魔女や妖怪の舞台となるハルツ山地の麓にあるため、この点も町に息づく神秘的な雰囲気の一因にもなっています。
1000年の歴史都市が残る世界遺産を実感してみてください。
金の鷲 | 1230年に建造された、ゴスラーが皇帝都市だったことを示す証の噴水です。歴史的建造物が立ち並ぶマルクト広場の中央に、小さいながらも堂々と輝いている黄金の鷲です。 |
マルクト広場 | まずは中央に金の鷲。そして正面には1450年頃に建てられた市庁舎があります。市庁舎の2階には16世紀に描かれたという壁画がある宣誓の間(Huldigungssaal)があります。 また、1494年に布地職人のギルドハウスとして建造されたという朱色のホテル、カイザーヴォルトもあります。ゴスラーに数多くある美しい建造物の中にあって名建築と言える美しさをもっています。1Fはレストランになっていて、広場に面したテラス席が人気のようですよ。 |
皇帝居城 | ハインリヒ2世の建造を引き継ぎ、1056年にハインリヒ3世によって完成を見た神聖ローマ帝国皇帝の城です。この城は宮廷様式のために堂々たる迫力には欠けるかもしれませんが、ドイツでも最も大きな宮廷の城とも言われます。現在の建物は1879年に修復されたものの、創建当時を忠実に再現したものとなっています。 また、このお城の正面には2体の騎馬像があり、向かって右が神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世、左がプロイセン皇帝ヴィルヘルム1世となっています。その他、居城の隣にはウルリッヒ礼拝堂があり、ここの地下にはハインリッヒ3世の心臓が納められているという棺も存在します。 |
ドームホール | 皇帝居城の敷地の目の前にポツンと建つ小さな建物がドームホールです。この建物は、実は元々1050年にハインリッヒ3世の命で建造された聖シモン&ユダ教会でした。ですが、年月と共に荒廃してしまったこの教会は1820年頃に取り壊され、その入口であったこの一部分だけが残されました。壁面には、歴史を感じさせるレリーフを見ることができます。 |
ランメスベルク鉱山博物館 | ランメスベルク鉱山とは、ゴスラーの歴史と切っても切り離せない鉱山です。968年に発見されて以来、1000年以上もの間、金、銀、銅などを産出し、ゴスラーに富をもたらしてきました。1988年に廃鉱とはなりましたが、今ではレーダー坑道と呼ばれる実際の坑道が博物館になっていて、トロッコ列車か徒歩でのツアーガイドがあります。ゴスラー駅からバスで約10分です。 |
グラス・ウント・ホルツ・スタジオ | お土産になるたくさんのアイテムが揃ってます。ハルツの伝統ある木彫りのものから、ペンダントなどのアクセサリー、その他様々な日用品もあります。建物も1254年に建築された旧聖十字架病院の一角にあり、伝統ある歴史建造物としても印象に残ります。 |
ゴスラーは旧市街そのものが見ものです。あらゆる小路や角に美しい家々、小川や市壁跡、門塔などが数多く存在します。とてもここには挙げきれませんが、何を探すまでもなく、目的地もなしに旧市街散策を楽しむのもアリですよ!綺麗な景色を目に焼き付けてきてくださいね。
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