ミュンヘンからSバーンで終点のゲルテンドルフ。この町の町区で、世界最大規模の騎士祭が開かれる場所として有名。一方で、町の西にはロマンチック街道が走り、ランツベルクも近い。
騎士祭以外の時期には観光のポイントも特にないが、騎士祭会場にもなっているカルテンベルク城は、現在でもかつてのバイエルン王家の末裔が住んでいることでも知られている。
カルテンベルク騎士祭の舞台となるカルテンベルク城が建てられたのは1292年。ミュンヘンから50km、ランツベルクからは20km程度のこの小さな城で騎士祭が初めて開かれたのは1979年。現在でも城に住むバイエルン王家の子孫、ルイトポルト・プリンツ・フォン・バイエルンによって呼び声がかかり、その中世を再現した独特の祭りは、現在では世界最大規模の騎士祭にまで上り詰めることとなる。
そして、30年続くこの祭りは年々その知名度を上げ、2008年にはナルニア国物語の続編である『カスピアン王子の角笛』の公開記念イベントが開かれるなど、その注目度は更に増している。
Data
帰属連邦州 | バイエルン州 |
町 | ゲルテンドルフ |
ゲルテンドルフの人口 | 5,604人(2007年) |
特産品 | カルテンベルガービール |
お祭り | 騎士祭(毎年6月) |
郵便番号 | 82269 |
おすすめ度 | ☆☆☆☆ |
キャッチフレーズ | 募集中です |
騎士祭公式サイト | http://www.ritterturnier.de/ |
Map
ミュンヘンの西方約40kmのゲルテンドルフ駅の約2km西にあります。
また、南西約20kmにはランツベルクやロマンチック街道もあります。
一方10km南東にはアマー湖などの湖もあり、緑の牧歌的な田園風景が広がります。
Access
■ ミュンヘンからSバーンとバスで約1時間
(終点ゲルテンドルフでバスに乗換)
■ ランツベルクからバスで約30分
■ アウクスブルクからBRBとバスで約1時間
(ゲルテンドルフでバスに乗換)
BRBとはバイエルンの地方鉄道です。バイエルンチケットを使用すれば、週末と平日9時以降は、ICEやICなどの特急電車以外であれば、5人まで有効で28ユーロで乗り放題(バスやBRBもOKです)ですので大変お得です!1人でも20ユーロです。
アイアンヘルムにアイアンアーマー、カチャカチャと音を立てながら、1人の男が僕の横を通り過ぎていった。
ここはどこだ?ここは、ドイツバイエルン州、ミュンヘンとランツベルクの間にある小さな村。
じゃあ、今はいつだ?今は21世紀、ブーブーいいながら走る自動車を操る人間の住む世界。
布の服を着た商人の店から、香ばしい煙が立ち昇る。そこには、談笑をしながらソーセージにかぶりつく、この町の若い衆がたくさん集う。ふと右を見ると、髭面の職人らしき店の前では、店の中が見えなくなるほど・・・あたかもすだれのように皮細工やアクセサリーが吊り下げてある。そして、それをじっくりと見定める奇抜な格好の女性たち。店という店は全て、木で造られた囲いに布の屋根で覆われ、テントのような雰囲気。
木立の中に現れた不思議な村は、この現代を飛び越えたどこかにある、空想の世界のようだった。何だか昔やったゲームを思い出すなぁ・・・。確か、ドラゴンクエストVだっけ・・・。
こんな雰囲気の村で、武器や防具、アクセサリーなどを買って、宿屋で寝る。そういえば、この村の入口に門があった・・・。その傍らにあった入場料を払う小屋は興ざめなのでここでは省くとして、門の入口の脇には、鉄兜と鉄のよろいを身につけた騎士がにこやかに立っていた。
「ようこそ、カルテンベルクへ!」
そうだ・・・ここはカルテンベルクという村。大勢の人が行き交う、活気ある村。1年にたった数日しか開いていない、お祭りの会場だなんてことを知らなければ、ここはすごい活気のある中世の商人の村だ。
門をくぐるや否や、もくもくと筋煙をあげるテントが幾つも見える。なんだか香ばしい香りが・・・。そんな香りにつられてちょっと進んでみると・・・今度は甘い香りにつられて別のテントへ消えていく人の流れがある。
ここで買い物や買い食いを楽しんでいる人が、21世紀を生きる人たちだなんてことを知らなければ、ここは不思議な衣装を身にまとった客がたくさん訪れる商人の村だ。
カチャカチャ・・・またナイトが横切っていった。武器こそ持っていないが、ここがモンスターなんて存在しない現実世界だと思わなければ、それは幾多の戦いでレベルを上げ、この村に武器を買いに来た戦士の姿。ドラクエ世代の僕にとっては、何だか小学校の頃にやったあのシーンが蘇ってくるように感じる。
そんな100種類のグルメあり、職人細工あり、アクセサリーありの心躍る商人の村は、ご存知の通り、現代ドイツでは考えられない中世の市場をそっくり再現したカルテンベルク騎士祭の会場なのだ。1つの門をくぐった木立の中にある空間で営まれる陽気なお祭りは、人里はなれたこの田園の森で開かれているからこそ、その雰囲気を壊すものは何もない。樹という自然の風景が外界をシャットアウトし、実はこの会場の外にある仮設の大駐車場なんてKYなものを見えなくしてくれているので、心からこの中世を味わうことができるのだ。
そんな賑わう商人の市場を楽しみながら、小路を奥へと進んでいく。すると、どこからともなく歓声が聞こえてくる・・・。人混みは次第に大きくなり、そして今までの緑の天井が大きな青空に変わった瞬間、目の前には大観衆に包まれた中世の劇場が姿を現したのだった!
大観衆の目線の先には、今まさに馬上の戦いが繰り広げられている。黒い騎士や青い騎士が剣を交えるその舞台。そう、ここがまさに騎士祭のメイン劇場だ!数千人・・・いや、あるいは万を超えるような大観衆の中央で繰り広げられる中世人たちの世界。一部始終を体験することはできなかったが、騎士や魔術師、姫などが次々と登場するその舞台は、まるでそこだけが500年前の中世とを異次元で結ばれているかのような光景だった。
1年に数回、中世との時間を結んでくれるカルテンベルクの野外劇場。薄暮の空の下、もはや人気もない。でも、空の色とともに、人の波は方向を変えるだけなのだ。薄暮の木立の商人街は、もはや路を埋め尽くすほどの人。
さすがに疲れた・・・。ここに来て3時間。人混みを掻き分け、やっとのことで人気のまばらな場所までやってくる。
「ん・・・?Schloss Kaltenberg?」
そこはカルテンベルク城の目の前だった。バイエルン王の末裔が住むカルテンベルク城の門の前に立っていたのだ。・・・やっぱりドラクエだなあ・・・。
ここは村じゃなかった。活気ある商人の町は、カルテンベルクの城下町。迫力満点の野外劇が行われる劇場は、役者の腕の見せ所であり、この町の娯楽の場。現実世界のカルテンベルクという町は、単なるバイエルン州のゲルテンドルフという町の一地区でしかないかもしれないけど・・・
でもちょっと視点を変えたら、カルテンベルク城という城の目の前に広がる活気ある城下町なんだ!昔やったゲームを髣髴とさせるような町。
ちょっとミニチュアな空間だけど、中世の魅力が凝縮したこの空間は、これまでドイツのどこの町でも経験できなかったような味のある思い出を僕に残してくれた。
-町の小窓たち- |
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詳細はフリー写真de小旅行Terminal〜カルテンベルク〜でご紹介中です。
2007年の留学当時、僕はタンデムパートナーの友達に連れられてこのカルテンベルクを初めて知りました。ミュンヘンに住むドイツ人のおすすめの祭りだけに、やはり大変説得力のある素晴らしい祭りでした!ドラクエの町に例えて話を進めてしまいましたが、ついてこれなかった方は申し訳ございません!ですが、ご存知の方には何となくわかっていただけるような面白い空間がそこには広がっています。
話は最後、カルテンベルク城の入口で終わってしまいましたが、城の庭ではカルテンベルガービールに酔う人たちがたくさんいて、そこもお祭りの会場でした。写真は、そこで手に入れたビールジョッキです!楽しい中世のお祭り、必見ですよ!!
のらりくらりと棒読みならぬ棒撮り(ボーっと録りました)の未編集ムービーを公開しています。画質が悪くて申し訳ございません。
今回はもちろんカルテンベルクの騎士祭。フィナーレの後の一部分しか撮れませんでしたが・・・。
個人的には、僕が訪れたドイツの祭りの中で、クリスマスマルクトも含めて3本の指に入るくらい思い出深いものです。自信を持っておすすめできる素晴らしい祭りですよ!騎士祭だけでなく、その周りの中世の市場が雰囲気を作っていて、グルメもビールも買い物も楽しめる最高のお祭りです!
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