ニーダーザクセン州都であるハノーファー近郊の町。駅から少し離れた旧市街には、お城や庭園などの緑の美しい景色が広がっている。
そして、何よりもこの町の特色となるものは、旧市街中に広がるカラフルに彩られた木組みの家々。その家にはそれぞれ彫刻などが施され、どれも特徴的な建物ばかり。そして、そんな戦災を免れた綺麗な町並みが広がるツェレは、『北ドイツのきらめく真珠』とも呼ばれている。
ツェレが文献上に登場したのは985年。その後11世紀には貨幣鋳造権を得、1292年には現在あるツェレの直接の起源となる町ができあがり、同時にツェレ城も築かれる。そして1301年には都市権、1433年にはリューネブルク公の居住地となり、その地位を確固たるものにする。
こうして徐々にその地位を築いていったツェレ、17世紀後半にはヴィルヘルム公の元で、現在に繋がる文化的な面も発展することになり、以後ハノーファー王国の重要な都市として歩みを進めることとなる。
現在では、戦災を免れた、北ドイツでも屈指の中世の木組みの町並みが残り、観光地として人気のある町となっている。
Data
帰属連邦州 | ニーダーザクセン州 |
人口 | 70,930人(2007年) |
特産品 | 木彫り工芸品 |
お祭り | 旧市街祭り(8月第2週の土日) |
手作り工芸品市 (5〜6月の聖霊降臨祭日) | |
郵便番号 | 29221-29229 |
おすすめ度 | ☆☆☆☆ |
キャッチフレーズ | 北ドイツの煌く真珠 |
公式サイト | www.celle.de |
Map
ニーダーザクセン州都ハノーファーの約40km北東に位置する。町にはヴェーザー川の支流であるアラー川が流れ、旧市街のツェレ城やフランス庭園の敷地などには、そのアラー川から分かれた小川がたくさん流れている。緑と小川の町でもある。
Access
■ ハノーファーからSバーンで約40分
■ ブレーメンからREとSバーンで約2時間半
(ハノーファーで乗換)
■ ハンブルクからMEで約1時間50分
(ウエルツェンで乗換)
■ フランクフルトからICで約4時間
ニーダーザクセンチケットを利用すれば、週末と平日9時以降は、ICE/IC/EC等の特急列車以外であれば、5人まで有効で28ユーロで乗り放題ですので大変お得です!ブレーメンとハンブルクも有効です。
ニーダーザクセン州には木組みの町並みが綺麗な都市がたくさんある。グリム童話で有名なハーメルン、魔女伝説の地ゴスラーやヴェルニゲローデなど、本当に見事な木組みの家が建ち並んでいる。そして、その中でも特に綺麗だと言われているのが、このツェレの町。戦災を免れたという450軒の家々が旧市街に集まり、私たち観光客を中世の世界に連れて行ってくれる。それでは中世にちょっと戻ってみよう。
ツェレ旧市街の市庁舎前に、Zoellnerstrasse(ツォルナーシュトラーセ)という名前の通りがある。直訳すると、『通行税税吏の道』。つまり、通行税の取立人の道だ。
そこを行き交う馬車やら商人の隊列、ブラウンシュヴェイク=リューネブルク公のお膝元で、こうして税が取り立てられる。目の前にはツェレ城。そして、右を見れば見事な木組み、左も木組み、振り返っても木組み。なんだか市外から来た者にとっては完全アウェーのような雰囲気・・・。お金が動く。
通りの徴税は、この町に富をもたらす。レジデンツシュタット(宮殿の町)と呼ばれているだけに、その裕福な生活が見て取れる。でも、そんな見事な木組みの家々に住む住人にも、少しでも工夫をすることで、より楽な生活をしたいという気持ちがあるものだ。
ふと横道に目をやると、トンカントンカンと家を建てる技師たち。よく見てみると、その家、なんだか面白い形をしている。1階よりも2階、そして3階と、段々と前に出てきているのだ。つまりどういうこと?こういうこと。1階よりも2階、そして2階よりも3階の面積を広くするように造っているのだ。
そう・・・実は中世ドイツでは、家にかかる税金は延床面積などに依存するのではなく、土台となる階の面積に依存する。だからこうして出窓のように家壁が凸凹していたり、階が上がるにつれ出っ張っていたりするのだ。汗水流して建てている家、やっぱ中世の人も、私たちが思い描くような夢の世界の住人ではない。
現実に戻ってみる。なんだか、メルヘンとか色々夢や想像の膨らむ町並みではあるけれど、こういう現実を見てみると、当時の人も現代人と同じ様な大変な思いをしていたんだろうなって感じる。でも、そういう生活の工夫があったからこそ、今の人にはわからないようなちょっとした謎がたくさん町の中に隠れている。そんな謎を見つけて解いていくのも、旅行の楽しみのひとつなのです。どこぞの番組にあるような、不思議発見と謎解きなわけなのです。
というのも、ツェレを何気なく歩いていると、もしかしたら目が飽きてきてしまうかもしれません。美人は三日で飽きるではないけど、一見するとあまりに均整が取れすぎていて、面白みというものに欠けるかもしれないからです。
ゴスラーは独特の神秘的な雰囲気に包まれており、そこでしか味わえないようなたいへん濃い空気が流れています。ヴェルニゲローデはツェレと同様に均整がとれているものの、観光地化しているためにたくさんのお土産店などを見て回るのも楽しく、高台にはお城も構え、地形も変化に富んでいます。
でも、ツェレはまるで一糸乱れぬ隊列の行進を見ているかのような町並みで、土地も平坦であり、しばらく見ていると全部同じに見えてきてしまうかもしれません。だからこそ、建物の細部をよく見てみたりすると、それぞれの家には独自の彫刻などが施してあるのが分かり、同じ様に見えても実は全然違うんだってことがわかるはずです。
今回の旅行記は、他の町と違ってただの観光ガイドのようになってしまいましたが、ツェレを旅するときのヒントにしていただければって思います。
ツォルナーシュトラーセは、今や多くの木組みのショップが連なる商店街。その前を通る観光客、次から次へと木組みの家に飲み込まれていきます。そして数分後に出てきた観光客・・・さっきまで膨らんでいた財布がしぼんでしまいました。そう、今は通行税取立ての道ではないけれど、観光客からお金をおいしそうに飲み込む木組みの番人たちが構える通りなのです。
-町の小窓たち- |
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詳細はフリー写真de小旅行Terminal〜ツェレ〜でご紹介中です。
私自身、実際ツェレは1時間程見ていたら飽きてきてしまいました。すごく綺麗な町並みなのに、何だか面白みがないというか、だんだん単調に見えてきてしまったのです。でも、そこで家々をじっくり見てみると、その装飾やら建築年、構造などにすごく特徴があることに気づきました。
ただ見えているものを眺めるだけではもったいないなって感じました。ドイツ語で言うならsehenではなく、ansehenですね。じっくり見て、その特徴ある美しさを捉えてきてください。
ツェレの旧市街は、駅から15分程度歩いたところにあります。旧市街自体は小さいので、見て回るだけなら2〜3時間あれば十分だと思います。ただ、ツェレ城のガイドツアーや博物館などもありますので、見事な木組みの家々に囲まれてゆったりと過ごすのもいいかもしれません。
ツェレ城 | 1292年にブラウンシュヴェイク=リューネブルク大公の居城として建設が始まり、バロック様式とルネッサンス様式が混ざった現在の姿になったのは17世紀のことです。旧市街西部にある、緑に囲まれたお城です。また、城にはバロック様式としてはドイツ最古という劇場もあります。 |
ホッペナーハウス | 1532年に造られた、ツェレで最も大きく美しい建物です。ちなみに、ツェレの多くの木組みの家々には、それぞれ彫刻があったり、建築年などが彫られていたりしますので、その壁をじっくり見てみるのもいいと思います。 |
市教会 | 高さ74.5mの教会で、1308年に建造されました。展望台からはツェレの木組みの町並みを見渡すことができます。また、ツェレ縁の公爵達の墓もここに多く存在しています。 |
ボーマン博物館 | ツェレ城の目の前にある20世紀初頭に造られた博物館で、ツェレの歴史や文化、手工業などについての資料などが展示されています。ちなみに、毎年5〜6月の聖霊降臨祭の日になると、ツェレ城で手作り工芸品市が開かれます。 |
大きな見所は少ないものの、小さな旧市街全体が非常に見事な木組みの景観でできあがっていますので、街角を散歩するだけでも十分な観光になると思います。
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