晩秋から冬へ向かう10月
日本でいえば芸術の秋。でも10月のミュンヘンは、9月半ばからのオクトーバーフェストの祭りの後の雰囲気があります。祭りは10月頭で閉幕し、その後は一気に木の葉が染まり、町はあっという間に晩秋の空気が漂ってきます。そして、11月にはもう冬がやってきてしまうんです。
そんなミュンヘンの10月の平均気温は、関東から西の本州と比較すると、だいたいクリスマスの頃の平均気温と同じです。気温で見ると、晩秋というより、もう冬が始まっている感じですよね。
前半はまだ秋服でも大丈夫ですが、後半にミュンヘンを旅行するという方は、もう冬服も用意しておいた方がいいでしょう。
平均気温 | 平均降水量 |
7.8℃ | 67mm |
紅葉のイギリス庭園
10月最初の日曜日で幕を閉じるオクトーバーフェスト。興奮のるつぼと化した9月だけに、10月のミュンヘンは、祭りの後の雰囲気がいっぱい。そんな空気に拍車をかけられ、秋は一気に深まっていく。そして、長い冬への入口へ突き進むのだ。ここでは、まだ緑の多い10月初旬のイギリス庭園をご案内。
ミュンヘン観光プレミア地図の右上、赤のUが示す広い緑の地区が、このイギリス庭園。
ミュンヘン人癒しの庭園も、いよいよ最後の仕事。紅葉だ。でも、ドイツ人は紅葉はほとんど気にしない。日本人のように、秋を楽しむという感覚はあまりないのだ。というのも、秋はすごく短い・・・8月に夏が終わり、9月は季節というよりオクトーバーフェスト一色、11月には初雪。つまり、実質秋はこの10月だけといってもいいのだから・・・。
本当に紅葉を楽しむのなら、おすすめはもっと南のアルプス周辺。ミュンヘンの紅葉は鮮やかだとは言い難く、せいぜい茶色や黄色に色づく感じ。紅葉色(赤)はほとんどない。でも、やっぱり私たち日本人・・・イギリス庭園の素朴な紅葉であっても、やはり心が和むものです。
10月のニンフェンブルク城
ミュンヘン観光プレミア地図で広範囲を確認していただくと、画面の左の方に赤字のLで示される緑の地区がある。この東西に広がる広大な敷地が、ミュンヘンでも有数の観光スポットであるニンフェンブルク城だ。
しかし、さすが歴代バイエルン王や選帝侯の夏の離宮。その敷地は、ミュンヘン旧市街より大きい。更に、城の正面からU1のGern(ゲルン)やRotkreuzplatz(ロートクロイツプラッツ)駅に続く水路は、何と1.5キロ程度にも及ぶ。1664年起工だというが、バイエルン国の権威を示す巨大な宮殿だと言える。
ところで、この水路の周辺、ミュンヘンでも裕福な人が住む高級住宅街。周りの写真は10月初旬だが、秋の空気と水辺と住宅街が、何とも緩く平和な雰囲気を醸し出している。ここでは城の詳しい説明は割愛しますが、博物館であったり、中世ミュンヘン人の美人画ギャラリーなどがありますので、興味があれば、旧市街から足を伸ばしてみてください。
枯葉の舞うミヒャエル・エンデの墓
今回も、ミュンヘン観光プレミア地図でズームダウンしていただくと、旧市街のずっと南西に、黄色のEで示される地区がある。ここが、ミュンヘンの森林墓地(Waldfriedhof)だ。
ここで取り上げるのは、ミヒャエル・エンデ。ご存知の方も多いはずだが、あのネバーエンディングストーリーの原作である、『はてしない物語』の著者。
ところで皆さん・・・「灰色の男」をご存知でしょうか・・・?
彼の残した『Momo(モモ)』に登場する謎の集団。エンデは、童話作家でありながら、我ら灰色の男を『Momo』に登場させ、大人でも十分考えさせられる斬新な内容の作品を遺した。これこそ必読の名作。
そして、そのミヒャエル・エンデが眠る墓が、この森林墓地にある。およそ墓とは思えないような可愛らしい墓碑や、彼の遺した本のキャラクターたち。
写真はもう10月の終わり。一気に冬っぽい雰囲気へと近づいたお墓。そんな中、枯葉の被ったエンデの墓のカメの背中に、何か書いてあるのを見つけた。枯葉を掃うと、そこには・・・
「Keine Angst(心配要らないよ/怖がることないよ)」と書いてあった。