10歳で進路が決まる?!
日本の義務教育は、小学校6年、中学校3年。そこから高等学校3年や高専に進み、大学・短大・専門学校に進学していく形が一般的です。でも、ドイツではその仕組みが全く異なっているんです!
まず、満6歳で多くのドイツの子供が入学するのは、4年制の基礎学校(Grundschule)です。これは、日本で言ういわゆる小学校に当たる学校ですが、4年制であること、そして卒業後にはもう進路を決めなくてはならないというのが決定的に異なります。
基礎学校を卒業すると・・・下のような3つの選択肢があります。
- 一定の成績があり、将来的に大学へ進む為には、ギムナジウムという9年制の学校
- 職人や工場労働者に進むには、基礎学校後に5年制の基幹学校(Hauptschule)
- 事務職や下級・中級公務員の方向であれば、6年制の中等実科学校や商科学校
以上のように進むことになります。
たった10歳で3つの大きな岐路に立つ・・・何だか過酷ですね。でも、日本のような学歴偏重社会ではないですし、自立する形が早く整うため、日本人よりも早くが大人としての意識が形成されるのかもしれません。
ここまでは基礎学校、上級学校とご紹介しました。次の項目では、その次の進路をご紹介します。
資格があれば、どの大学でも入れる?!
上級学校として基幹学校(Hauptschule)へ進んだ場合は、卒業後には3〜4年間、職業専門学校や企業職業学校に通い、マイスターなどを目指します。
一方で中等実科学校や中等商科学校へ進んだ場合は、卒業後には高等専門学校や単科高等学校へ進み、それぞれの職業を探していきます。
そして、基礎学校からギムナジウムへと進んだ場合は、9年間学んだ後で、多くの学生は大学を志望することになります。しかし、入学前にはもちろん試験があります。でも、この大学進学のための試験の意味が、日本の大学入試試験とは全く違うんです。
アビトゥーア(Abitur)といわれるこの試験は、正確に言うと、ギムナジウム卒業試験です。つまり、9年制の教育課程を経て、このアビトゥーアに合格さえすれば、ギムナジウム卒業と同時に、あらゆる大学や専門学校に入学する為の資格を獲得できるんです!
日本のように大学毎に入学試験を研究したりする必要はないんですね。これが、日本より大学に入りやすいと言われる所以なんです。
ドイツの小中高一貫教育
ドイツの教育として日本でも有名なのが、シュタイナー学校です。10歳で進路が決まるという基礎学校過程に行かずに、6歳から12年間かけて小中高一貫教育を行うシュタイナー学校は、卒業後に1〜2年のギムナジウム卒業試験準備を行い、アビトゥーアに合格すると、大学進学資格を得ることができます。
また、シュタイナー学校とは別に、13年間の一貫教育を行う総合学校に進むことでも、アビトゥーア試験受験資格を得ることができます。
日本よりもずっと早く確立した小中高一貫教育。特にシュタイナー学校は、世界でも教育制度の見本として捉えられる重要な学校なんです。