都市国家の集合体?!
大平原や森が続くドイツを旅すると、町に辿り着くたびになんだか小さな国に出逢ったような錯覚があります。ドイツの町は帯状ではなく、隣町と接していることがほとんどないので、町を発ったらすぐ原野、そしてしばらくして次の町が見えてくる・・・そんな感じなんです。
歴史については割愛しますが、ドイツの町は市壁で取り囲まれ、それぞれ独自色が強く、中世から自給自足で発展してきたという経緯があります。そして、中には都市国家として大きく発展した町もあり、それらのマクロでの繋がりが現在のドイツ連邦共和国を形成しているといえるんです。
日本の場合も城下町や門前町にはある程度の独自色がありますが、街道筋に発展した宿場町や現代の駅を中心にできた町を含め、到底都市国家といえるほどの独立色を放っている町なんてほとんどないですよね。
この独自色の違いと自立性こそ、ドイツと日本の町の決定的な違いです。ちょっと大げさですが、小さな小さな国とも言えるドイツの各町は、例え隣町がなくなったとしても、自分達の町で全てを賄っていけます。それだけ自立しているんです!
そんな町に住むドイツ人たちなので、郷土愛もたいへん強いですよ。日本人はよく県民の文化の違いで盛り上がりますが、ドイツは町レベルでの話になるんです。
市壁に囲まれた旧市街
教会を中心に抱いて発展してきたドイツの街の特徴は、その教会を取り囲むようにできた中世の古い街並みが残されているというところです。そして、もうひとつの特徴は、中世の戦禍から町を守るために築かれた市壁。旧市街を取り囲むようにできた市壁は、現在では取り壊された町も多いですが、まだまだ残されているところかなりあります。
日本にもお城を囲むお堀はありますが、ドイツのような旧市街をすっぽり囲む市壁なんてないですよね。
個性と存在感のあるドイツの道
○丁目、○番地、○号・・・ネットの地図検索システムがなかったら、目的地を探しにくいったらありゃしない日本の住所表記。日本では、道に囲まれた地区を単位として、その区域にある家に順番に数字を割り当てていきますよね。ですが、ドイツでは全く違うんですよ。
ドイツでは、道が住所になるんです。つまり、その道に沿う建物に順番に数字を割り当てていくので、街区は線状になっていくんです。しかも、道路は全てに固有名がつけられていて、有名人の名前や国名などバラエティも豊か。そんな名前の標識が至る所にあるだけで、なんだか町が生きているようで明るく感じます。
人に話す時なんか、「○丁目○番地」なんて言ったら「どこだよ」って感じですが、ドイツでは「○○○通りに住んでいます」って言えば、結構通じます。自分の住んでいる道路にも愛着が湧きますし、日本にはないいいシステムです。
あれ、電柱はどこいった?!
ドイツの町を歩いていると、観光地ではなくても「きれいだな〜」ってよく感心します。なぜだろう。整然とした街並みに、調和のとれた家々たちのおかげか?・・・ここで、「あ!!」と叫ぶ。「あれ?!電柱が全くないぞ?!」
そう、ドイツの町には基本的には電柱が全く存在しません。観光地ではない町でも、なんてことない郊外の町でも、大都市でも、普通に観光や生活をしているレベルではまず電柱さんに遭遇する機会はないかと思います。
それもそのはず、ドイツは一部を除いて電線は地中埋設式をとられているんです。近年は、日本でも、美観への意識から観光地を中心に広まりつつもありますが・・・
- コストがかかる
- 地震の多い日本には適さない
といった理由から、なかなか全面普及とはいきません。
もしドイツで電柱を見たいという方は、町の間に点々とある集落などに目をつけてみてください。木の電柱だったり、家から家へ伸びる電線だったり、日本ではなかなか目にすることのできない光景に巡りあえると思いますよ。
本当にここが中央駅?!
ドイツ各地を鉄道で旅行すると、降りるのはだいたい×××中央駅(×××Hauptbahnhof)か、その町の名前が直接駅名になっている駅です。その駅こそ、文字通りその町の中心となる駅のはずなのですが・・・
降りて歩き始めたら・・・一体いつになったら観光の中心である旧市街に辿り着くんだ?!って思うことばかり。徒歩10分以上離れているのは当たり前なんです。
でも、それこそ中世からの歴史をもつ証!新しい建物は旧市街の外にできるという普通の流れこそ、日本と違うドイツの町の特徴でもあります。